こんにちは!
あなたのかかりつけ栄養士 佐藤彩香です。
毎日TwitterやHPにて様々な質問を頂きます。ありがとうございます!!
なかなか返信が追い付いておらず、すみません。
ただその中で、メッセージ内容で多かった「大盛り飯ルール」について今回は取り上げたいと思います。
メッセージ内容は以下の通りです。
僕たちのチームでは、毎食大盛り飯3杯ルールがあります。
先生に監視されながら日々このルールのもとで食事を食べています。
たくさん食べなきゃいけないのはわかります。ただ体格の差もあれば、体調もあり、食べるのが地獄です。
食事の献立も、朝ごはん
大盛り飯 3杯
ソーセージや卵などのおかず
味噌汁
だけです。
これは本当にこれはあっているのかと思いメッセージをさせてもらいました。
ちなみに昼夜の先生がいないときはバレないので、みんな食べていません。
このような内容でした。
これに似た内容がたくさん・・・。
まだこのようなチームがあるのかと思いましたし、これに悩んでいる選手の多さにショックな気持ちとまだまだ伝えていかなくてはならないことがたくさんあると感じました。
チームの考えや方向性など全くわからない中で全否定はできませんが、栄養士としてこれは伝えたいことがあります。
そもそも、そのルールは誰のため?
ここがはっきりしてなくて、ただご飯を食べさせる。
それでは意味はないと思います。
私が選手と関わるときに感じるのは、「なぜ食べるのか」の部分が共有できると、食事に対して前向きになります。
なんで食べるのか、誰のために食べるのかをしっかり明確にすべきです。
またこの「大盛り3杯」はどこからのルールなのでしょうか・・・。
選手が言うように体格の差もあるのにみんなが同じ量を食べろというのがおかしな話だと思います。一体感は生まれるかもしれませんが、パフォーマンスを上げる、コンディションを上げるには繋がるのかとても疑問です。
現に、先生が見てるときは食べて、それ以外は食べないという現象も起きています。
「トイレにいって吐いてます」
「隠れてトイレで捨てています」
という選手もたくさんいました。
これは誰も得しないですよね。
ご飯をたくさん食べたら強くなるの?
「ご飯をたくさん食べたら強くなるのか」
「ご飯をたくさん食べたら身体は大きくなるのか」
よくこれは聞かれます。
確かにご飯はアスリートにとって強い味方です。
ご飯に入っている糖質がないとそもそもエネルギー源が足りず、パフォーマンスも低下しますし、集中力や判断力も鈍ります。
身体も成長するエネルギー源が足りてないと大きくはなりません。
ただご飯だけ!ではいけません。
選手から相談があったように、ご飯3杯に対しておかずがソーセージや卵のみだと、ご飯をしっかりエネルギーに変えてくれるビタミンやミネラルが足りません。またたんぱく質という栄養素もしっかり摂っていかないと、身体は出来上がってきませんし、身体のリカバリーも追いつきません。
ご飯だけ大量に入れたら逆に、
集中力低下
食欲不振
疲労感や倦怠感を感じる
などなどリスクがあります。
栄養素はチームで働きます。糖質だけいれるのではなく、主菜、副菜に含まれる様々な栄養素はアスリートには必要なのです。
ではどうしたら良いのか
強くなりたいという気持ちはみんな一緒です。
ですので、
・しっかり自分に必要量を知って、納得して食べること
・一度に食べることにこだわらず、分食を心がけること
この2つが多いなポイントだと思います。
2003年にIOCより発表されたアスリートの栄養摂取についてのコンセンサスによると、糖質は、
○運動後、すばやく(4時間以内)回復するために:1~1.2g/kg体重/時間
○回復期間が1日の場合:継続時間が中程度で低強度のトレーニング後:5~7g/kg体重/日
○回復期間が1日の場合:中~高強度の持久性運動:7~12g/kg体重/日
○回復期間が1日の場合:かなりハードな運動(運動時間4~6時間/日以上):10~12 g
または12g/kg体重/日以上
と記されています。
これで自分の体重に必要な糖質の量を考えてみるのも一つの手です。
ご飯1合(300g)で糖質の量は115gです。
すべてご飯で摂らなくても、バナナ1本で糖質は30g摂れますし、根菜類などの野菜にも糖質は入っています。もちろん肉や魚にも糖質は多少入っています。煮物や甘しょっぱく味付けしてある炒め物などは、砂糖を使用していますので、意外と糖質は摂れます。組み合わせる食材によっても異なりますが、必要量の8割をご飯で食べていけば、必要量は摂れてくるのかなと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
また分食もぜひ活用しましょう。プロの選手はもちろん、海外で活躍している選手も3食でどうにかしようという考えはあまりないです。分食(補食)をうまく使って、食べていきましょう。
まとめ
まだまだこの悩みを抱えながら過ごす選手が多いです。
ぜひ今伝えたことが選手だけでなく、指導者の方にも伝わっていくと嬉しいです。
食事のことまで個々で見てられないから、量を決めているチームさんもあると思います。ただこのようなことになってしまうのは、本末転倒ではないでしょうか。個々にアプローチが無理でも他にやり方はたくさんあると思います。良ければ、気軽にご相談ください。
栄養士としてこのメッセージをもらったときに、「食事が地獄」という言葉がとても悲しかったです。
でもこれが現状であるということ。
1日何回もアスリートは食事をします。そのたびに地獄と感じているのと、そうでないのでは大きく違ってくるのではないでしょうか。
忍耐力もスポーツにとってすごく大切です。
それは私もスポーツをやっていたからわかりますし、アスリートと関わる現在も感じています。
ただこの忍耐力の使い方が今回のケースは違うのではないかと思います。
ぜひこの記事が多くの方にご覧いただき、広まっていくことを願います。